202507
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低テストステロン値のあれこれ |
| ◆テストステロン減少の予兆 |
テストステロンは、体内で最も重要なホルモンのひとつである。
男性にとっては、肉体的な男性らしさをはじめ、気分の調整、性欲の増進まで、幅広い機能を調節するホルモンだ。
女性にとっては、テストステロンは性欲だけでなく、骨や卵巣の健康にも関わっている。
しかし、男性は女性に比べてテストステロンの分泌量が多いため、ホルモン値の低下が男性の健康と幸福度に与える影響は特に大きい。

ここでは、テストステロンが減少すると何が起こり、どのような症状が現れるのかを探る。
定義
低テストステロンは、「男性性腺機能低下症」、「テストステロン欠乏症」、または「LOH症候群」としても知られ、テストステロンレベルが一定レベル以下の場合に該当する。
◆テストステロン値
テストステロン値はその国のガイドラインによって異なる。
正常範囲が非常に広く、何をもって「正常」の値とみなすかは議論の余地がある。
例えば、アメリカでは、血液1デシリットル当たり300ナノグラム以下のテストステロンは低値とみなされる。
◆テストステロン値が低い原因
男性性腺機能低下症には、
一次性(精巣が十分なテストステロンを産生しない)と
二次性(視床下部または下垂体が、精巣を刺激してテストステロンを産生させるホルモンを分泌しない)がある。
どちらの場合も、遺伝的問題から外傷や生活習慣まで、さまざまな要因によって引き起こされる。
◆症状
性腺機能低下症には常に症状を伴うわけではないが、症状が現れた場合は、その人にとっての毎日の健康と幸福度に影響を及ぼす。
◆加齢によるテストステロン値の低下
精巣でテストステロンを産生する役割を担うライディッヒ細胞。
それは男性が年をとるにつれて感度を失い始め、数が減り、時間の経過とともに傷付いてしまうものも出てくる。
その結果、ホルモン値は自然と低下していく。
男性では40歳から70歳の間に、最大40%減少するケースもある。

| ●テストステロン減少に伴う症状 |
性欲の低下
性欲減退は、テストステロン値が低下し始めている兆候のひとつ。
これはパートナーとのセックスだけでなく、セックス全般に対する興味にも当てはまる。
基本的に、以前は性的刺激を受けたものに対して、同じように反応しなくなる。
もちろん、ストレス、不安、うつ、あるいは単なる疲労など、他の要因も性欲減退の原因となりうる。
しかし、他に心当たりがない場合、テストステロン値を疑ってみよう。
勃起回数の減少
勃起回数が減ったり、勃起を維持できなくなったりするのは、低テストステロンの徴候かもしれない。
男性は、性的刺激を受けたときだけでなく、さまざまな状況で勃起するのが普通だが、頻度の減少は警告サインだ。
通常、ホルモン値を原因とする勃起不全では、テストステロン値が相当に低くなければならない。
動脈硬化や精神衛生上の問題など、他の健康問題が関わっている可能性も考慮しなければならない。
それでも、テストステロン値が問題である可能性はある。
射精量の減少
平均して、男性は毎回1.5~4.5ミリリットルの精液を射精する。
射精量は年齢や性行為の頻度によって異なるが、大幅な減少は前立腺と精嚢が正常に機能していないサインかもしれない。
これらは精液の生産を担っており、テストステロン値の低下が直接影響するところだ。
乳房の発達
男性の乳房組織が実際に成長するという症状、「女性化乳房」を発症する可能性がある。
低テストステロンが間接的に女性ホルモンであるエストロゲンの値を通常より引き上げることが原因。
女性化乳房は男性の年齢に関係なく発症するが、年齢が高くなるにつれて、あるいは他の理由でテストステロン値が低下すると、より発症しやすくなる。
また、男性は偽性女性化乳房に悩まされることもある。
これは、胸部に脂肪が蓄積することだ(これもまた、低テストステロンレベルと関連している)。
体脂肪の増加
体脂肪が増加し、それを減らすことが困難になることも、低テストステロンの兆候である。
低テストステロンは運動意欲も低下させるので、悪循環となる。
しかし、悪循環はさらに続く。
体脂肪が多い男性は、テストステロンが脂肪細胞で(女性ホルモンである)エストロゲンに変換される。
つまり、脂肪が増えればエストロゲンも増える。
エストロゲンは今度はテストステロンの分泌を減少させ、さらに体重増加を誘発する。
気分の落ち込み
気分の変化もテストステロン減少の兆候かもしれない。
テストステロンは、気分を安定させ、不安や恐怖を和らげ、ストレス下で男性のパフォーマンスを向上させる。
その為、テストステロン値が低いと、男性の気分に影響を及ぼす。
低テストステロンの男性は、疲労、やる気の欠如、無気力、集中力の欠如、不安、さらにはうつ病を経験することがある。
「不機嫌な老人」というステレオタイプはこのことに由来していると思われる。
疲労感
低テストステロンの影響といえば、疲労感が大きい。
常に消耗しているように感じるのは、他の原因もあるかもしれないが、テストステロンの低下が確かな原因である可能性もある。
正常値のテストステロンは、男性が身体を動かす意欲を高める。
低テストステロン値は、体重増加とともに、筋肉量と骨密度の減少にもつながる。
要するに、男性はより弱く、より虚弱になる。
これはゆっくり進行する類の症状だが、生活の質に大きな影響を与える。
睡眠障害
多くのシニア男性が睡眠に問題を抱えている事はご存じだろうか。
しかし、若い男性も、特にテストステロン値が低い場合は、睡眠障害に悩まされることがある。
夜中に頻繁に目が覚めたり、一般的に不眠症になったりするのは、低テストステロンの兆候である可能性がある。

睡眠はテストステロンの産生には必要なものであり、逆もまた然りである。
テストステロン値は夜間にピークに達する。睡眠の中断は、血中テストステロン濃度を低下させることで知られるストレスホルモン、コルチゾールの副作用である場合がある。
寝汗やほてり
ほてりは更年期女性によく見られるが、これは更年期女性のエストロゲン値が急激に低下する事による。
それと同じく、テストステロン値の急激な低下を経験する男性にも起こりうる。
前立腺がんのアンドロゲン補充療法を受けている男性も、同様のほてりを経験することがある。
同様に、寝汗も低テストステロン値と関わっている。
| ●子供や女性に対しての影響 |
◆子供の場合の影響
ほとんどの男性は、人生の後半にテストステロン減少の問題を経験することになるが、若い時に経験する男性もいる。
男児の性腺機能低下症は、乳房肥大(女性化乳房)や異常に長い腕や脚の発達を通して現れることがある。
思春期の遅れも症状のひとつである。該当する男児は性器が未発達で、高い声を保ち、年齢の割に筋肉の発達が不十分である。
低テストステロンは、停留精巣(陰睾)や体毛の欠如の原因にもなる。
小児の低テストステロンの原因はさまざまである。
睾丸、下垂体、視床下部に影響を及ぼす他の疾患が原因であることが多い。
◆テストステロンは女性にも影響する
テストステロンというと男性を連想しがちだが、女性にもテストステロンがある(男性にエストロゲンがあるのと同じように)。
実際、このホルモンは女性の性欲を司る主なホルモンであり、骨や卵巣の健康にも関与している。
女性の場合、テストステロンは卵巣と副腎で産生される。
女性は男性よりテストステロンの分泌量が10~20倍少ないが、ホルモン値の高低によって影響を受ける。
◆高テストステロンレベルが女性に与える影響
女性のテストステロンが高すぎると、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、ニキビ、過剰な発毛など、健康上の問題を引き起こす可能性がある。
◆低テストステロンレベルが女性に与える影響
女性の低テストステロンは、性欲減退、生理不順、膣の乾燥、不妊症、骨粗鬆症の発症にも関わる。
◆女性に対しての治療法
ほとんどの女性は低テストステロンに対する治療を受けないが、男性性腺機能低下症は症状が重いため、治療を受けることも多い。
治療法はテストステロン値低下の根本原因によって異なるため、資格を持つ医療専門家に相談するのが良い。
生活習慣を変える必要があったり、時にはテストステロン補充療法が施されることもある。
出典:(Health Digest) (Medical News Today) (WebMD) (Healthline) (Everyday Health)